コミュニケーションのアーキテクチャを設計する―藤村龍至×山崎亮対談集
コミュニケーションのアーキテクチャを設計する―藤村龍至×山崎亮対談集 (建築文化シナジー)
- 作者: 藤村龍至,山崎亮
- 出版社/メーカー: 彰国社
- 発売日: 2012/07
- メディア: 単行本
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「大学では作家教育をするのに、大半の人たちは技術者として就職していく矛盾」
どちらが大事か、と問われればどちらも大事だし、どちらに偏るのは危険であるはずだが、設計製図至上主義のような教育が多いのではないか。
この50年とこれからの50年は全く別の世の中になる。
作家と技術者は互いに分かり合わねばならないし、そういう教育に変えたい。
おそらく教員が変わらなければ何も変わらないのだろう。
全くどうでもいいが、藤村氏のセリフは早口で、山崎氏のセリフは大きな声でにこやかに読んでしまった。
飛躍する構造デザイン
- 作者: 渡辺邦夫
- 出版社/メーカー: 学芸出版社
- 発売日: 2002/09
- メディア: 単行本
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構造設計はただ計算をすれば良いというものではない。むしろ構造計画の方が大事だ。
この書籍にはいくつかの実例を用いて構造計画のプロセスと仕組みを解説しながら、構造デザインの重要性を説いている。
海の博物館、幕張メッセ、東京国際フォーラム、札幌メディアパーク・スピカ、ウルサンサッカースタジアムなど、構造体に特徴のあるものばかりだ。
建築設計において、構造設計が受け持つのは安全性であることはもちろんだが、時に意匠性も伴うこともあり、その美しさは何に起因するのか。
構造設計こそ、感性が必要である。
コンクリートものがたり―コンクリートの文化史
- 作者: 山田順治
- 出版社/メーカー: 文一総合出版
- 発売日: 1986/05
- メディア: 単行本
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日本で国産のセメントが市販されだしたのは、今からおよそ140年前のことらしい。
建築材料の歴史に関する書籍は少ないため、この書籍は貴重だと思う。
建築学は温故知新。学部生の頃に出会いたかった。
菊竹清訓巡礼
- 作者: 磯達雄,日経アーキテクチュア,宮沢洋
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2012/12/13
- メディア: 単行本
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菊竹氏の作品・人物像を知るには素晴らしい機会だった。施工担当企業等が映像として残していた3作品は、当時の技術や情勢、思想などが詰め込まれていた。博覧会などのテンポラリーな建築も多いが、アクアポリスの映像は圧巻だった。時代背景として現代では不可能だろう。
印象に残ったのは事務所OBらによって語られた菊竹氏の教育・指導方法である。各所員で異なる手法をとっていた。初期の遠藤氏とは一緒に現地調査に出かけ、階段などを実測し、数十年後の内藤氏には3時間程度でコンペ案を30案作れという無理難題を突き付けていた。個性を見抜いていたのだろう。
長谷川氏によって語られた菊竹氏と篠原一男氏との逸話や、遠藤氏の高田馬場駅前広場に描いた実寸図面の話、仙田氏による独立後からあのコンペの話など、書きだしたら止まらないので割愛する。
著者の磯氏らによれば、菊竹氏のルーツである久留米市をはじめ多くの地方に作品を残しているが、氏の作品には水への畏怖が表れているらしい。幼少期から河川の氾濫などに脅かされたためか、水の怖さを十分理解していたようだ。
逝去から1年、菊竹氏が何を考えいかに作ったかを知るには、この書籍を参考に現地へ足を運びたい。構造家の松井源吾氏の作風とともに体験してみたい。
錦帯橋シンポジウムin江戸 錦帯橋の価値
錦帯橋には1度だけ訪れたことがある。広島での学会を終え、先輩の後について岩国駅からバスにしばらく揺られてたどり着いた。夏の暑い日だった。当時の私としては、無数の部材を接いだ大きな木造のアーチ橋というざっくりとした印象しかなかったが、実物を見て、構造を学ぶ学生としての知的好奇心をくすぐられた。
研究室へ行こうと準備をしていたら、東大の腰原先生のtweetを拝見し、予定を変更して大隈記念講堂へ向かった。錦帯橋はこれまでに早大の依田先生らの研究などを通じて世界遺産への登録に向けて奮闘されていることは知っていたが、詳細な話を聴講したことがなかったのでこの機会は逃すわけにはいかなかった。錦帯橋の構造をはじめ、材料、水害、工法、作り手、政策など多岐にわたる登壇者は魅力的だった。
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