Something for Structural Engineering

建築土木の構造工学と,その周辺

10/2-3に建築会館にてArchi-TV2010が行われた。
http://architv2010.nobody.jp/
Live!!構造解析チームのスタッフとしての思いというか、私目線のArchi-TV2010とはどういうものだったのかを書き残しておこうと思う。


ちなみに、当日のLive!!構造解析に関するtweetをまとめたものはこちら
http://togetter.com/li/56534
※オフィシャルではありません。個人的にまとめたものです。


ここでは本番が始まるまでの準備段階について書きます。
長文注意。


私が村上Dからこの企画に誘われたのは、たしか7月後半だったように記憶している。
まずはY-PACラジオ内の力学系ラジオ!の出演者が召集されたようだった。
http://ypac.web.fc2.com/radio.html
その時は「へーがんばってねー」くらいにしか思っていなくて、まさかスタッフとして参加するとは思っていなかった。
企画自体はガチでやれば面白いと思ったが、私の博士後期という立ち位置では第3者として見守る程度がちょうどいいと感じていたからだ。


しかし企画書が送られてきて少し厳しいことを言ったら、思ってた以上に村上Dは大真面目だったので、1回くらい相談に乗るかと話していたらすっかり巻き込まれていたのである。


そんなこんなで始まった私のArchi-TV2010。
銀茶会の野点の設計に対する構造的検討。
事前WSの段階から構造学生からの視点でものを言える機会があったので、スタディ模型などを見ながら構造に関するアドバイスのような、その案から発展していけるような内容のことを言ってみたつもりである。
主に女性班を担当していたが、実際のところ、意匠設計の部分にまで踏み込まなければならなかった。


何故「踏み込まなければならなかった」のか。


これは女性班だからなのか、一般的に言えるものなのかは解らないが、誤解を恐れずに言えば「建築を解っていない」のだと思う。
スケール感覚や、模型では簡略化できたディティール、施工手順など、実寸大の空間を作るのであれば絶対に考えなければならないことに関する議論が一向に始まらなかった。
時間的な問題や作業人数などを考慮すれば、もうギリギリの段階にきているというのに。
ある程度案が固まらない限り、こちらとしても解析が進められないのである。


私が口を挟むことではないと思いつつも、
要求された空間の大きさ、にじり口の大きさが確保出来ていないことを指摘。
施工する場所などを考慮した土台を考えなければならないことを指摘。
部材が全て集まる部分のディティールが重要であることを指摘。
ドーム(曲面)に開口を作ることのデザイン的難しさを指摘。
施工方法についての甘さを指摘。


絶対的なリーダー的な存在がいないながらも、彼女らなりに出来る限りのことはやっていたのだとは思う。
しかし経験不足からか、1/1を作ることをリアルに捉えられておらず、構造班に指摘されてばかりだった。
とはいえ、我々構造班も「案の検討」という立場であったため、具体的な提案はせず触れただけだったので、うまく伝わらなかったところがあったのかもしれない。


余談ではあるが、建築という狭い世界の中で、さらに狭い自らの専門分野しか知らないというのはかなり危険だと思う。
得手不得手はあるだろうから、全てを自分のものにするのは相当な苦労を要する。
しかし、他人が自分の不得手を補ってくれればそれでいいのだから、誰かと協働するというのは重要なこと。
つまり、交友関係を広げること、コミュニケーションを図っていくことは想像以上に重要である。


話を戻そう。
こうやって女性班とわいわいやってるだけなら楽しかったのだが、構造班としてはそれとは別に動かなければならない。
もちろん、本番のために着々と準備をしていたのだが、建築家の方に実験をしたいと言われ、突発的に試験体計画から実行までを数時間で行ったりした。
まさにLive!!であった。
いわゆる建築材料として扱ったことのないものを、いかに実験するかと瞬時に考えるのは思った以上に疲労感を味わう。
しかも製図室のような場所で使える機材なども限られている。
かといっていい加減なことは出来ない。
このバランス感覚が問われた。


本番が近づくにつれ、徐々に慌しくなる。
ラスト2週間の村上Dを見てると本当に大変なんだろうなと、何故か客観的に思ってしまった。
とはいえメールで送られてくる解析の様子や、男性班の途中経過などに対応しつつ、本番の実験の治具の設計や計測器の手配、試験片の計画など、私も地味だけど大変だった。
まあ、本業もばたばたしていたこともありますが。
本番で実験を見ていた方はどんなものだったかわかると思いますが、あれの設計、結構大変なんですよ!


こうして本番前日の夜中まで準備をして、女性班は大丈夫なのか気になりつつも、本番を迎えるのである。


後半へ続く。